「これ、自分ヤバいかも」と思った夜

01_揺らぎ

「今にも心が壊れそうだ。」
奥さんにそう吐き出し、泣かせてしまった。

うっすらと自覚し始めたのは、年末年始の休みのときだった。

年始から仕事が大変になりそうで、休みの間も準備を進めていた。
普段から休日に仕事をすること自体は珍しくなかったけど、この頃から少しずつ、仕事の不安が頭の中を占める時間が増えていった。

気がつくと、また仕事のことを考えている。

ベッドに入っても、頭の中だけずっと仕事をしている。
なかなか眠れない。

朝、目が覚めた瞬間から、もう仕事のことが浮かんでくる。

家族と食事をしているときも、映画を見ているときも、ちゃんとそこにいられない感じがあった。
ずっとどこかで、不安に引っ張られている。

本やネットで見た対処法もいくつか試してみた。
不安に名前をつけてみたり、考える時間を決めてそれ以外では考えないようにしたり、「あ、今不安なんだ」と意識してみたり。
それでも、仕事が始まる頃には、ほとんど何も変わっていなかった。
年始最初の勤務は、泊まりの出張だった。
仕事中は忙しさもあって、不安を考える余裕はなかった。

でも、コンビニで夜ご飯を買って外に出たとき。
急に、感覚が変わった。

さっきまで普通に動いていたはずなのに、足元が少し不安定になるような感じがした。
そのまま、心が崩れそうになる。

うまく説明できないけど、このまま何かが壊れる気がして、怖かった。

慌てて奥さんに電話をかけた。

「ちょっと、やばいかもしれない。」
「今にも心が壊れそうだ。」

突然の電話に戸惑いながらも、奥さんは話を聞いてくれて、優しく声をかけてくれた。
その声を聞いているうちに、少しだけ不安が和らいだ気がした。

驚かせて、泣かせてしまったことは後悔している。

結局、この日はそのまま過ごせたけど、一睡もできなかった。
このときは、まだ何が起きているのかわからなかった。
ただ、自分の中で何かがおかしくなっている、という感覚だけははっきりあった。